知識人と美容師を繋ぐソーシャルウェブマガジン

美歴マガジン記事一覧 » 『美容室のメイクはどう見られているのか?』 ~ビジュアルは言語その10 ~
2014.11.24 Mon
『美容室のメイクはどう見られているのか?』 ~ビジュアルは言語その10 ~
ビジュアルは言語その10
『美容室のメイクはどう見られているのか?』


私が代表を務める「株式会社Know Who」は7年前に起業した。
この会社は、全国の美容室にメイクアップを中心としたトータルビューティービジネス構築を専門にお手伝いしている。

起業して7年という年月は、専門分野のデータを蓄積するに十分な期間だったと考えているが、ここにきて(つい先日、8期目突入!)、美容室と呼ばれる場所で提供するメイクについて、サロンの顧客がどのような印象を持っているのか? を知る必要にかられた。

なぜか。
それは聞き捨てならない言葉を耳にし、しかも妙に納得してしまった自分がいたからなのだ………。

トレンドに敏感ないわゆるオサレ女子たちが、

『美容室でメイクって絶対やんなーい』

と言ってると!

受け方によっては……、
私が情熱と信念もって取組んできた仕事を、私の社会的活動すべてを否定されたと思えないこともない。
しかし、ここは妙に納得してしまったのである。

それは、たびたびサロンで働く女子たちに、メイクチームを稼働させる上で必要な事業部を立ち上げる手伝いをしているとき、彼女たちに伝えてきた「私の言葉」とかぶったから………。

そもそも「美容室でメイクが必要とされるシーン」とは、成人式。または(運が良ければ)、年に数回の頻度で招待される結婚式くらいである。メイクアップサービスについて、何か特別な努力をしなくとも、既存顧客の明快なメイクニーズはこの2つとして成立する。
メイクに興味のあるない関わらず、この非日常的なメイクスキルは美容室で働く皆さんにとってMUST HAVEだと言える。

ここでもう、勘の良いアナタならばお気づきだろう。成人式と結婚式…どちらのメイクも普段着では確実に浮いてしまう「厚めで白いベースに、紅が混じったような濃いリップ」というのが基本の、たしなみ系メイクだ。オサレ女子達がもっとも疎遠と感じる“美容室メイク”の根源はここにあるようだ。

需要がある時に、需要のあるメイクだけを学び、繰り返しその技術訓練だけを行えば「美しい」と思える基準はその需要寄りになる。

この偏った審美眼は、つい、日々の自分メイクにも反映されるわけで。最先端のヘアスタイルに、トレンドのファションなのに成人式や結婚式に耐えられるメイクという残念な組み合わせは、オシャレに敏感な女子達には「美容室のメイク」としてポジショニングされるようだ。その代表的なデザインは、厚くて白っぽいベースに固まったオレンジ系チークとなる。

また、デザインのふり幅が狭くなることから、コスメにも偏りが見られ「レブロンしか使ったことがない」みたいな人が美容室にはわんさか居たりする。価格帯もその辺でとどまるので、さらににラグジュアリー系コスメへの知識も情報も疎遠になる。
しかし顧客によってはシャネル、ディオール、エスティローダ系コスメをポーチの中で最速更新したりしている。これでは、どちらがプロだか分かったものではない。

先述の話しに戻すと、私がつねにサロン女子の皆さんへ申し上げているのは

『お客はあなたの顔を見て、サービスや化粧品を買うか買わないかを決める』

ということ。あながのヘア技術がどんなに素晴らしくとも、あなたの顔(メイク)が例のごとく美容室メイクであれば売れないよ………ということをさんざん申し上げている。

しかしここ数年、サロンで働く女子たちのメイクスキルとセンスは格段に上がっているのも事実。『そろそろ安心ね』と安心しかけた矢先の、今回の出来事であったので、来年の目標はオサレ女子がサロンメイクの先入観を変える「なにかしらの場の設定」ということにする。

そのために、まずは女性美容師の「自分メイク」を支援することがやはり重要であり、美容業界で働く我々が、本来のメイクの楽しさやら、進化し続けるコスメのユニークさを身を持って体得し、表現する必要がある。美容室で提供されるメイクには、まだまだ課題があるが同時に、大きな可能性が眠っているのだから。