知識人と美容師を繋ぐソーシャルウェブマガジン

美歴マガジン記事一覧 » 『美容師のあるべき姿を論じるのは正義か悪か。』
2014.10.26 Sun
『美容師のあるべき姿を論じるのは正義か悪か。』
みなさん、こんにちは。
美容師名鑑編集部 BirekiMagazine編集部 石渡です。


「美容師かくあるべき」
ここ2〜3年くらいで美容室業界にも一気にSNSが普及していって、私みたいな新参者にもビジネスのチャンスが顕在化してきたのは事実であり、ありがたいなぁ、と思っているところなのですが、その分、美容師さんの多種多様な考え方、生き方、スタイルがあるということにみなさんが気づき始めて、「美容師かくあるべき」みたいなことを言う人も減ってきたと思うのですが、どうでしょう?

ただ、たまに飲みの席で「美容師はこうあるべきだ」みたいなことを議論しあっている美容師さんに出会います。批判は覚悟の上で言いますが、こうお伝えしたい「そんなものは心の中にしまっておけ」と。正義なんて偉そうに振りかざすものじゃなくて、自分のうちに秘めておけばいいのだ(この言葉はドラマ『踊る大捜査線』で和久さんが言った台詞なのですが)と思うのです。だってかっこ悪いじゃん。

そんな席に接すると思うのは、過去の成功モデルケースを押し付けたくなる方が多いのかな、ということなのですが、とってもありがた迷惑な事象だなと感じてしまうのは、私が一般社会人として劣っているという劣等感から生じてしまうものなのだと思います。Double/HEARTSの山下浩二さんなんかは、美容師さんの憧れる成功事例だと思うのですが、ご本人に押しつけ感がまったくないのが大好きです。コンテストなどでの、あの秀逸なコメントの数々。持ち上げてくる周囲の業界のほの暗い人たちのよいしょをモノともせずに、自らの道を行くスタイルは、かっこいいと思うのです。それでいて押し付けがましくない。潔し。またAFLOATの宮村浩気さんもとってもフラットで、どうしたらあの見た目に寄らない人柄が形成されるのか気になるところです。

もし「美容師かくあるべき」と押し付けるのであれば、その責任も取って頂けるのか?と消費者センターに駆け込みたくなるものです。あなたの言う通りにやったけど、上手く行かなかった!とクーリングオフできるのであれば、実践してみたいものですね、そんなわけないですが。

また、業界全体を俯瞰しましてこんなケースも多く見受けられます。それは本人が押し付けたいというよりも、美容室周辺ビジネスをしている人たちが、勝手に押し付けたいパターンですね。業者にしますと、誰か成功事例になってくれるととても助かるのです。それを真似してください、って言えるので、この上なく押し付けられる。相手は失敗しても、「まだ成功事例のあの方に近づけてません!」と言えばいいのですから、これほどの逃走経路はないわけで、ルパン三世よりもドジをふまないルートが確保されているのです。

ここまでくると本当に恐ろしい集団催眠みたいになってくるのですが、ジャーナル様と呼ばれるメディア関係の皆さま方のなかにも「美容師・●●さんは素晴らしい」という記事を乱発される方がいらっしゃるので、そんな誰も否定できないような提灯記事を書いて、素晴らしいなぁ、と感じながら、成功者の押し付けパターンを維持されているのだと思ってしまう私は完全に人間失格なのです。

「もっとそれぞれの美容師が好きにやればええやーん」と確実に関西の皆さんから突っ込みを頂戴するエセ関西弁でこの文章をごまかそうとしているのは見え見えなのですが、「かくあるべき」なんて言う人には気持ち悪さまで感じてしまうので、ちょっとここで書いてみてしまったわけです、お許しください。

なーんて記事を書きますと、必ず出ていらっしゃいますのが、「お前みたいなのに言われたくない」みたいなことをおっしゃる方なのですが、ひとつお断りしておきたいのは、別に先輩方を否定しているわけではないということ。特に技術者というのはどんなに頑張っても経験に勝るものはないと思っています。そしてその積み重ねこそが技術者の生命線であることも、技術者の端くれたる私ですら分かっている事実であります。大技術者である先輩たちの生き方、考え方、そして高い技術を後輩たちは大切に受け継ぐべきだと思っています。しかし、それを押し付けて正義にしてはいけない、そうしたら、後輩たちは考えなくなってしまう、オリジナルが出せなくなってしまう、というのがイマドキな私の見解なのです。ということで、単純批判ではありませんし、美容師という職業を愛している私を誤解のなきようにお願いします。(はい、ビビって言い訳を書きました)


株式会社パイプドビッツ
美歴カンパニー
美容師名鑑編集部
BirekiMagazine編集部
兼任編集長 石渡武臣