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2014.10.23 Thu
『美容室の企業買収は是か否か。』
みなさん、こんにちは。
美容師名鑑編集部 BirekiMagazine編集部石渡です。

一般企業においてシナジーを生み出す他社を買収するのは至極当然の成り行きです。スタートアップのバイアウトも大企業が自らのビジネスにゲインすると考えるからこそ、その将来性に勘案した資本を投下するわけで、ビジネスラインで考えれば、双方にとってプラスになるわけです。

私はかなり前から美容室業界において他社の買収ってあり得るのか考えてきました。この考えを経営者の方に話すと「美容文化が違いすぎる」「買収された側の社長が障害になる」「そもそも美容師社長は買収なんかに応じない」という意見が大勢を占めてきました。確かにその側面はとても強いと思いますし、買収?(正確には事業譲渡ですが)されたことのある私としても、共感してしまうところもあるわけで、技術職の企業買収の難しさを感じるわけです。

また完全同業他社の場合、銀行や大手企業でも同じですが、どちらかの経営が不安定になったことによる支援的買収が多くなりますので、買収される側の経営者としては、なかなかそこに覚悟を持つことが難しいという心理的な現実もあるのかと思います。弱い立場から強い立場への買収話のもちかけほど辛いものはありません。またなんとかなりそうな状況であった場合、買収されるくらいなら、なんとか生き抜いてやる、という意識になることも多分にあるでしょう。

しかし、そこにあるのは、経営者のエゴであることが多いと思うのです。自分で創った会社を無くして他社に頼ることの辛さは経営者じゃないとわかりませんが、経営者だからこそ、判断が鈍るということも多いのかと思います。(まさに私がそうでしたので)

では、美容室の企業買収は、ビジネスの側面から考えて、アリなのか、ナシなのかと言いますと、すべてのケースに当てはまるわけではないので、一概に総じて言えないのですが、アリだと思っています。

①売上が美容師の人数に紐づいている
②材料は大量買い付けのほうがスケールメリットがでる
③多様な人材はビジネスの可能性を高める
④収入源が多い方が、相互補完することができる
⑤エリアビジネスの展開がしやすい

メリットを挙げればキリがないのですが、デメリットも出てきます。

①多様な文化摩擦が起こる
②技術レベルの差が生まれる
③箱が多くなり、コストリスクが高まる
④大量のリクルートが必要になる
⑤企業化することでデザイン創作性が失われる

などです。言いだせばもっとあるのでしょうが、大きく見てこのくらいのリスクが生まれるのかな、と思っています。以前、とある美容師さんから外部取締役になって欲しいと打診を受けたときに、私が考えたのは、新しい可能性をどう提示できるかということでした。その美容室を会社っぽくすることは私が理想とする美容室企業像ではありませんでした。すべきは、自由闊達な雰囲気と安定した企業化メリットです。これは経営陣のコンセンサスによって方向性を決めることができますし、議論を重ねることと、役割を振り分けることで旗ふり役がいれば、大きく舵をきることができると思ったのです。

そのときに”できること”の大きなポイントとして思ったのが、ホールディングス化でした。異なる文化を持つ美容室企業が横並びで、それぞれの独立性と連携を持つにはヘッドクォーターをもったホールディングスにすることがもっとも効果的なのではないか、と思ったわけです。美容室業界では、団体にしたり、グループにしたり、勉強会にして、スケールメリットを出そうという動きは以前からありますが、それはビジネスの本流ではないと思っています。緩い連携ほど怖いものはない、というのが私の見解であり、誰かが出し抜きを図った瞬間からその組織は瓦解していきます。そのときの悲惨さったら、この上ないと思ってしまうのです。

ホールディングスについては、覚悟を持った経営者同士であれば実現することができるのは、と思っています。それは美容室同士でなくても、いいと思います。可能性は広がっていくのです。そんな流れになったとき、もっと興味深いビジネスの動きというものができるのでは、と夢見てしまうのです。(なぜ私が??という疑問はありますが……)



株式会社パイプドビッツ
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