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2014.10.22 Wed
『美容室のガラパゴス化が加速する。』
みなさん、こんにちは。
美容師名鑑編集部 BirekiMagazine編集部 石渡です。

日本国内にいても海外の企業と戦わないといけなくなることは既に当たり前のことです。自動車や電化製品、そして最近では農業など幅広いビジネス分野において、世界企業と戦わないといけない環境になっています。規制緩和やTPPなど国家間交渉によって、もはや経済システムに国家が関わるのはどんどんと困難になっており、ビジネスが国境を越えるのは簡単であり、政治や行政がその現実に追いついていないのであります。

では美容室業界はどうでしょうか。そもそもにおいて日本における美容師は国家資格でありますし、美容室を開業するには美容所の登録申請及び検査などが必要になりますので、なかなかハードルが高いわけです。さらに薬剤等については薬事法も関わってきますし、従業員をリクルートするにも、お客さんへ宣伝するにもエリア特性を深く知らないといけないので、海外企業が参入するにはなかなかにして障壁が高いものです。もうひとつ障壁を追加するのであるなら、利益率の低さでしょうか。コストのなかで人件費の占める割合が高く、ひとりの美容師が生み出せる利益額が低い事業には、国内企業はもちろんのこと、海外企業も参加はためらうものです。

目の前のお客さんに対する従事サービスとして私は美容師という仕事に対して、尊敬していますし、美容師を愛している事実になんら変わりはありませんが、ビジネスとして巨大化するには、今のスタイルのままでは限界があると思わざるを得ません。客単価を極端にあげることができないなかにおいて、複合的で独立的なビジネス展開を模索しない限り、利益を最大化するのは困難でしょう。

これらの仕組み的な難しさに加えて、この業界に従事する人たちの、異世界との隔たりについても、ここで書いておかないといけないのかな、と思ってしまうのであります。先日のメディアに関するコラムでも書かせて頂きましたが、異業種の人たちのリレーションが劇的に悪い。もはや「美容師だから」では済まされない現実が目の前にあるのに、痛いことは後に回してしまう。「俺らは編集者だからさ」って言って出版業界は没落したわけです。しかし一部の編集者たちは自らの道を見つけ、異業種の人たちに小バカにされながらも、なんとか生き延びている。そして恐らく、近い未来、ツールは紙ではないかもしれなけど、再び編集者という職業が価値を取り戻る日がくると思います。

では戻って美容室業ですが、本来であれば編集者なんかよりも特殊性があって、専門性がある仕事なのですから、もっと広くビジネス展開できると私なんぞは思ってしまうわけです。今、専門性に尖ることが求められている時代にあって、その特徴を生かさないなんて、もったいない、と思うのです。広げるツールはいくらでもあって、特異性があるのであれば、そこには可能性しか残っていないわけです。

例えばair木村さんとgricoエザキさんがやっている「マルチバース」を彼らが特別な人たちと思っているだけでは、ほかのサロンの未来は相当に暗澹たるものになってしまうでしょう。これは可能性の問題であって、彼らと同じことをすることが正しいわけではないのです。その違いが理解できないとするならば、かなり厳しい現実を迎えることになります。

クリエイティブのイマジネーションと、ビジネスのイマジネーションは同じだと私は考えています。どちらも創造性が求められるわけですが、ビジネスに関してはヒントがいっぱい転がっているわけです。そのヒントを拾い上げて、繋ぎ合わせて、少し新鮮なエッセンスを加えることが仕事なのだと思うのです。 このまま、特殊な業界だよね、って言っているだけでは、美容業界だけがガラパゴス化していってしまいます。早くそこから抜け出す人たちが増えることを祈りますし、サポートしたいと思っています。



株式会社パイプドビッツ
美歴カンパニー
美容師名鑑編集部
BirekiMagazine編集部
兼任編集長 石渡武臣