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 有料 2015.05.28 Thu
『 ”kakimoto arms VS GARDEN”で見えたブランディングって何?という話。』



みなさん、こんにちは。
二日間悩んで、書きました、以下。
…………………………………………………………………………………

5月26日(火)渋谷ヒカリエホールにて、
「kakimoto arms×GARDEN」
によるヘアショーが開催された。

例年、kakimoto armsのコレクションにはお邪魔している。
今回は8回目にして、GARDENとのコラボステージになった。


いつも最前列で見させて頂いていて、
簡単な感想しか書いたことがなかったので、
今回は、素人目線でがっつりと書いてみたい。

客観目線なので、苦情はご遠慮くださいませ(逃げの一手)。

でも、大好きな2サロンなので、愛は詰まってます。
(え?いらない?)


そして本文中の ( ) は、
私が見ながら感じた心の声なので、
スルーして欲しい。


………………………………………………………………………………
ショー開催に先立ち、
kakimoto armsの柿本会長による挨拶は、
kakimoto armas40年の歴史にありながら、
どん欲な、
つねに変革を目指すその姿勢を見ることとなった。


「kakimoto armsにとってブランドの硬直化は致命的になりかねない。
そこで今、もっとも勢いのあるGARDENさんとコラボさせてもらうことで、
多くのスタッフたちへの刺激としたい」



次にGARDEN須崎代表が登場。
N.Y.進出など新たな試みを成功させ続けるGARDEN。

「業界の問題は様々あるけれど、
今回のような新しいチャレンジをすることで、
これまでと違った道を模索していきたい」
とのこと。
10年の経験を持つGARDENも、
まだまだ攻めのスタンス。





……
さて、ショーが始まる。

今回の大きなテーマになっているのが、

「kakimoto arms VS GARDEN」


ヘアカラーに革命を起こしてきた
歴史のあるkakimoto armsと、
今の美容室業界に刺激を与え続けるGARDENによる、
ブランドとブランドの戦い。


どんなバトルが繰り広げられるのか。
どうやって勝敗を決めるのか………。
とても期待感が高まる。




<バトル① HOPE -次世代ステージ- テーマ:モード>

最初のバトルテーマは「モード」。
まずはGARDENの中堅スタイリストたちが登場し、
”GARDENのモード”を表現。

モノトーンの世界の中に、
ミニマルなデザインが並ぶ。

個人的にはGARDENにモードというイメージは薄い。
しかし、思い起こせば、
シンプルかつ単色の、ソリッドな空気感は、
2014年A/Wにウェブ上で発表した
TOKYOのモードを想起させる。





(先頭の山岸くん、意外と表情は普通。でも、絶対に”やったる感”は伝わる。ブチ、がんばったね、センター。そして、なんだろ、あの赤羽の自信のある表情wwwかっこいいぞ)




対するkakimoto arms。
例年、感じることだが、
kakimoto armsのショーは、
ファッションのコーディネーションがうまい。

そしてその服とヘアカラーのバランスが絶妙だ。
個人的には勝手に、
これがkakimoto armsのショーの特徴だと思っていた。

しかし、
今回のモードについて言えば、
カラーという部分よりも、
カット、デザイン、フォルムを意識していたように感じた。
GARDENとは対照的に個性を打ち出すファッションと、
それに負けない際立つヘアデザイン。
kakimoto armsのモードに対する主張を見た想いがした。







(慣れてる、見せ方を体験的に知っている。そんな感覚になった。智さんは超安定。なんか今回のカットは細やかだった?あとこのグループにいたと思うのだが、、中薗さん。切り姿、仕上がり、とても気になりました。良い意味で。大きなモニターを見るといつも中薗さんなんだよな。もし違っていたら、ごめんなさい。。)





kakimoto arms、GARDEN、
それぞれのモデルがランウェイの両サイドに、
ウェストサイドストーリーのように居並ぶ。
そして、
それぞれのモデルが一人ずつ前へと進み、己を誇示する。

なるほど。
これがバトルの演出だったのか。
見ていて、まるで、
ランウェイを囲んで見ている群衆に対して

「さぁ、どっちにつくの?」

と言われているだった。




NEXT STAGE<GARDEN ”水色女子”>

モードのアップテンポな曲調から一転、
愛おしい、人間的な世界観が広がる。

GARDENのプレゼンテーション。

GARDEN2015年S/Sのテーマは
「TOKYO NUDE」
なのだが、
近からず、遠からず、ネイキッドな、
裸のカットを感じたのは思い込みすぎだろうか。


洗いざらしのようなウェットなヘアを、
粛々とカットする方法論。
イノセントな香りを抱くステージは、
GARDENにとってはチャレンジングなことだったと思う。

トレンドを作る、
そんなこれまでの印象をガラリと変えて、
新世界を想起させるスタンスは、
認知が進むブランドとしては、挑戦的だったと思う。





(もともと色白な津村の顔色が、青白く感じられて、なんだかこっちまで体調が悪くなった。でも、ハサミを持てばずんずんやってる彼女を見ると、不思議な安心感を得られたものです。よくやったね)



NEXT STAGE<GARDEN ”トレンド”>

続くGARDENのステージ。
モデルが花を持ちながら登場。

前ステージとは逆に、色のある、
華やかなステージング。
服装もカラフル、髪は巻いたり、ハネたり、
まさに一般誌で見るGARDENの世界観。

何よりも、
スタイリストとモデルが、何かを話しながら、
笑顔でカットし、カットされている雰囲気は、
ヘアショーとしてはNGなのかもしれないけど、
見ているこちらも笑顔になってしまう、
そんな”風”がランウェイに流れる。

私は撮影前のスタジオ横で、
スタイリストとモデルが仕上げをしている、
その雰囲気が好きなのだが、
このステージからは、
そんな信頼というか、共同作業のような、
感覚が感じられた。
こういうGARDENの雰囲気は本当に、、大好き。







(津田ちゃん、真剣な目差し、よかった。仕上がりも好きです。でも、もっともっと”らしい”スタイルがある気がする。そしてグリーンのヒールが可愛かった。脚がキレイ。ファムの顔がオラオラだった。大沼さんの真剣な表情はエロくて職人ぽかった。)



NEXT STAGE<GARDEN ”ガーデン”>

3つ目のステージは、
GARDENのトップスタイリストたちが登場。

「G/A/R/D/E/N」

になぞらえて、GARDENブランドを形成する、
まさに芯になる面々の想いと美容へのスタンスを、
言葉とスタイルで表現した。
そっか、GARDENの真ん中ってこういう人たち、
こういう思いで形作られていたんだ。

GARDENって個性的なスタッフが集まっているのに、
目に見えない風で繋がっているような。
春風が種子を飛ばして、様々な花が咲く庭のような。
そんな風景が目に浮かんできた。










(ごめん、みんないいこと言ってるのに、太郎のところで、吹いたのは私です。太郎が好きだからこそ、吹いちゃったの。でも、がつがつ切ってる太郎を見ていると、いつもは見れない真剣な表情を3年ぶりくらいに見させて頂きました。そして清水くんの脚がキレイすぎて引きました。GARDENのみなさん、清水くんのショーパンは禁止してください。そして安定の俊くん。先頭で正解ですね。)



<バトル② UNDER 2 YEARS -デビュー二年未満― テーマ: ストリート>

次のバトルは2年目以下の、
とっても若いスタイリストたちのステージ。
2年目にして、こんなステージに立たせてもらえるって、感動だろうな。

技術のことはわからないが、
それまでの先輩技術者の手元と比較してしまうと、
(勝手に)無駄そうな動きが多く感じたり、
創り上げていく流れがおぼつかなかったり、
ファッションも含めて、
どこに向かってるか見えなかったり。
(これは私が素人だから………)

興味深かったのは、
経験が長い人の施術の流れって、
無駄がないと思ったこと。

前髪を流したり、大きくブローしたり、
ワックスのつけかたも、
その後の動きを見ると意味があることに気づいて、
最初から最後まで、
髪を創り上げる物語が見える。
若いコたちからはその物語性はまだ感じられなかった。


でも、
彼らが圧倒的にほかの先輩たちと違うのは、
目の輝き。

緊張もしていただろうし、
かっこつけたい気持ちもあったかもしれない。

でも、
ひとたび、モデルの、
いやその髪に向かい合って、
周囲の世界から隔絶されて、
創り始めたときの、
楽しそうな、
いや、ワクワクしてるのかな、
その目の輝きは、
この日、彼らは圧倒的だった。





(応援してます。)



NEXT STAGE<kakimoto arms”フリンジレイヤー”>

画面にフリンジレイヤーのモデル写真が大写しになる。
そしてモデルたちの登場。

それぞれのスタイリストが、
それぞれのフリンジレイヤーを創り上げる。
統一感を持ちながらも、
よくよく見るとまったく違うフリンジ。

”kakimoto armsという方程式”を用いて、
それぞれのスタイリストが各々の解釈で、
解答への証明を図っている。

そんな数学者のようなアプローチは、
ある種、完全体の方程式が存在してこそ。








(小林さんの鬼気迫るカットは、ゾクゾクっとしました。なんだろ、ほかのメンバーが安定だからか、小林さんの攻める感じは、目が離せませんでした。)




NEXT STAGE<kakimoto arms”フレアレイヤー”>

フリンジと好対照なフレアレイヤー。

縦と横。

立体的な感覚の違いをハサミ一つで実感させる。
デザインが2Dだけではなく、
3Dになることで、もっと楽しめるものであり、
人間の目が立体という像を脳内で紡げる器官であることを
喜びにまで思えるそんな体験。









(内海ちゃんって、こんなに観音様みたいな笑顔の人だったっけ。圧倒的な安心感。そして包み込む笑顔………。攻撃的なだけが攻めるってことではない、と感じた瞬間。そして内海ちゃんがとても美しかった。個人的にとっても気になったのは、飯島千賀子さん。空気感があるというか、kakimoto armsさんぽくないというか。きっと彼女は、もっともっとすごくなる、、気がします)




NEXT STAGE<kakimoto arms”シースルーレイヤー”>

3つ目がシースルーレイヤー。
レイヤーという切り口を元にして、
縦と横、そして奥行きまでを表現。

デザイン性も高いのだろうが、個人的には、
この3つの次元をヘアスタイルで見せつけられたところに、
感激を憶えた。

3D=3次元、3つのディメンション。

この会場に、
4次元があるとするならば、
4D目を司るのは時間。

きっと時を忘れて魅入ってしまったことを思えば、
4次元の世界がそこにはあったのかもしれない。



(智さんが、いつ終わるのか、終わっちゃったよー、みんないないよー、と、気になりました。あとは中薗さんが、いい感じでした)




<バトル③ FLY HIGH -トップデザイナー― テーマ:プライド>

最後のバトルは、トップデザイナー対決。
テーマはプライド。


kakimoto arms
小林知弘/内海千佳子

GARDEN
河野悌己/秋葉千菜




もうこうなってくると、ヘアテーマというより、

”お前はいったいナニモノなのだ?”
そして、
”私はこういうモノだぜ”


という自分との戦いに見えてきた。

4人が4人とも、

うちのブランドはこうだぜ、
さらに、私のスタイルはこれなのよ、


という、

ブランド×個性

という難解な数式を
それぞれのハサミで積み上げていくような、
そんな心地の良い、
そして緊張感のある、
それでいて、きっと正解には辿り着かない
深遠な問いを繰り返しているように見えた。


この日、このステージで導きだした解は、
きっと今日かぎりの解なのであって、
1800年代に提唱されて、
未だに証明されないリーマン予想のように、
いつまでもその目的地を探し続けるのだろう。









…………………………………………………………
今回のバトルを見ていて、
”ブランディングへのアプローチ”
をつねに感じていた。



勝手な解釈だが、
kakimoto armsは、
kakimoto armsという絶対的なスタンスがあって、
高い技術を持つスタイリストたちは、
そのスタンスを根っこに持ちながら、
新しい世界へと進もうとしている。
みんなが自分たちの根源が何であるかを理解している。
これは時間の積み重ねによって培われた他者を凌駕するプロセスだ。



一方、GARDENは、
GARDENという枠組みがあって、
そのなかに様々に尖った個性が光っていて、
でも、GARDENという箱庭があるからこそ、さらに輝く。

裏を返せば、バラバラな個性を、
GARDENというフレームに収めることは、
ブランドとしてとても難しいことであって、
個性を生かしながら、
枠の中をイキイキと生かせるバランス感覚は、
一筋縄で身に付くはずもない。




双方とも、十分に”らしさ”というものがある。

「長年にわたって積み重ねられ、
完璧なまでに築き上げられた”らしさ”。」


「四方八方に飛び散ってしまいそうな、
はちきれんばかりの個を包み込む”らしさ”。」





ブランドビジネスという視点から見ると、
ブランドという同じ筋道に対して、
まったく違うアプローチをかける両者にとって、

これから来る荒波の時代に向かって、
既存のブランドを破壊するのか、拡大するのか、
次の”らしさ”を創造するのか。


きっと、これから、
見たこともない
”何か”
を創ってくれる。


このワクワク感と、
必ず見せてくれるという想いが、
確信に変わった夜だった。


さて、結局のところ、二日経ってみて、
「勝敗はどうなったの?」
と思い返してみた。

よくよく妄想してみると、
この2つのブランドの勝負というよりも、
見にきている人たち、
それは美容師でも、メーカーでも、ディーラーでも、
私たちのような異業種でも、
すべての人たちに、
「あなたのブランドは何なの?」
って戦いを挑まれたのだと思った。
つまり、2社の戦いはきっかけにすぎず、
激しくなる業界競争の火ぶたが
切って降ろされた、
そんな気持ちになった。


と、とても偉そうに、
”超上から目線”で申し訳ありません。
両社のみなさん、勘弁してください。
愛です(笑)。
本当にありがとうございました。
お疲れさまでした。
来年は、もっともっと期待してます。


株式会社パイプドビッツ
美歴カンパニー
美容師名鑑編集部 BirekiMagazine編集部
兼任編集長 石渡武臣


『仕事ができる美容師と、できない美容師、という話。』

『ダメと思いながら、隣の席に聞き耳をたてた結果、という話。』

『美容師にとって”美歴”は使えるアプリか、使えないアプリか、という話。』