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 有料 2015.04.14 Tue
『美容室業界を良くしたい、とか言うならイノベーティブな人材を創るべきだと思う、という話。』




イノベーションという言葉を聞くと、
昨今のIT企業を思い出す人が多いだろう。

日本ではイノベーションを「技術革新」とか「経営革新」なんて訳す。
これは1958年の『経済白書』によって”技術革新”と訳されたのが由来だそうだ。

確かに直訳すれば、革新する・刷新するとなる。
そこに和製英語的解釈を加えたことで技術とか、経営という単語がついて、
日本語的”イノベーション”が生まれたのだろう。

しかし、経済学の世界では
イノベーションとはもっと幅広く捉えられている。

経済学的には、「イノベーション」とは2つに分類されることがあるらしい。
「プロダクトイノベーション」(製品革新)は、新製品の技術開発によって大きな変化を与えること、そして他社より高い優位性を達成すること。

「プロセスイノベーション」(工程革新・製法革新)は、製造方法やその工程を大きく変化させることによってコストが劇的に削減されて他社より高い優位性を達成すること。

経済学としては”数値として大きく高まること”が革新なのであるから、
このような分類になるのはうなずける。


ただ現実世界においてイノベーションとは、
”イノベーションの場所”としてはまだまだ多くのシチュエーションが考えられる。

①「製品(商品)」
②「生産方法」
③「サービス(技術)」
④「市場(価格)」
⑤「消費者行動(価値観)」
⑥「組織」
⑦「流通」

美容室業界に当てはめれば、①や②はメーカーさんの領域か。
③〜⑥は美容室企業の領域で、⑦はディーラーさんの領域と言えるかもしれない。

例えば、④に関して言えば、
超低価格サロンはひとつのイノベーションになりえたのかもしれない。
飲食業では「鳥貴族」は同様に低価格居酒屋として人気を博している。
これも飲食業においてのイノベーションになりえたのかもしれない。

”なりえたのかもしれない”ということは、なっていないと思っている。
それは安いことが悪いとか良いとかそういう次元の話ではない。

イノベーションとは、

「新しい社会的意義を創造し、
新しい価値を創り、
社会に大きな変化をもたらすこと」

だと思う。
この低価格だけを取り出せば、
新しい価値の創造ではなく、
市場のニーズに応えたに過ぎないのだ。
(別に批判も否定もしていないのであしからず)
これはイノベーションではなく、
企業努力と言った方が正しいのだと思う。

イノベーティブな人、考え方とは、
それまでその市場、そして社会に存在した価値観を、
ひっくり返すことだと思う。
価値観を考えだすことではなく、創り出すことだと思う。

この価値観を考えだすことと、創り出すことの違いは何か。

それは、
”継続できるかどうか”
だと思っている。

アイデアが価値になり、価値観にまで定着するには、
継続的なアプローチが必要だ。
観念にまで浸透させることができるか否か。
これがイノベーティブな人の条件だと思っている。

スティーブ・ジョブズが生み出したものには、
新しい技術は使われていない。
各誌的な技術は生み出されていない。
しかし彼が世に送り出す製品は、
社会に新しい価値観を提案しているからこそ、
イノベーションなのだ。
そしてそれは諦めず、継続されている。

室内で野菜を育てられる今の時代。
技術的には特別なことではなくなった。
では都心のタワーマンションをすべて、
室内農園にして周囲の顧客に直接提供する、
そんな人が出てきたら、
それはイノベーションかもしれない。

今まで当然だったその業界、
その市場の価値観を覆すことこそ、
イノベーションなのだ。

そう考えれば、
お金や技術やデジタルの問題でなく、
価値観という観念の問題であるなら、
誰にでもできることに思えてくる。

もちろん、美容師さんにだって。

それは、
教育かもしれないし、
組織形態かもしれないし、
ITかもしれないし、
もちろん技術かもしれない。

イノベーションを繰り返してきた世界(業界)が、
これまでも生き残ってきたし、成長したし、
これからも世界の中心にあるのだと思う。
イノベーションができない業界が没落するのは、
歴史が見つめてきた必然だ。


業界を良くするという話を聞くが、
それだったら、
イノベーションを起こさせる環境、
イノベーションを認める業界状況を生み出す、
イノベーティブな人材を育成する、
このほうがよほどこの業界は生まれ変わる。
たったひとりの美容師が、
イノベーションを起こすかもしれない。


さて、
美容室業界のイノベーションは、
誰が起こすのだろうか。




と、今日も偉そうに失礼致しました。

株式会社パイプドビッツ
美歴カンパニー
美容師名鑑編集部 BirekiMagazine編集部
兼任編集長 石渡武臣

『仕事ができる美容師と、できない美容師、という話。』

『ダメと思いながら、隣の席に聞き耳をたてた結果、という話。』

『美容師にとって”美歴”は使えるアプリか、使えないアプリか、という話。』