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美歴マガジン記事一覧 » 『本を読んだだけでは物足りないから私がする変態的な三段活用、という話。』
 有料 2015.04.05 Sun
『本を読んだだけでは物足りないから私がする変態的な三段活用、という話。』




昔から本を読むことが大好きだ。
ただし”恋愛小説”は苦手だ。

以前は誰かの成功潭を読むことが多かった。
最近は学術書や経営ビジネス書が多い。
また文学書や歴史小説、統計書も多読する。

忙しければ、忙しいときほど、
本を読む傾向にある自分を見ると、
これは勉強家なのではなく、
読書家でもなくて、
ただの現実逃避にほかならないことがわかる。

本の読み方は人それぞれなので、
私みたいな読み方が良いのか、悪いのか、
自分では判断はつかないが、
大きく気分転換できること、
そして気づくという快感が、
そこには溢れていることを実感するたび、
本は素晴らしいと気づかされる。

本を読んでいて思うのは、
そこにある情報量の多さだ。
これをウェブサイトに置き換えようと
考えてみたことがあるが、
とんでもない複雑なサイトになりそうだった。

本を書くということは、
この膨大な情報を編み、集めること。
とてもシンプルなこの作業の、
有り難さを感じてしまう。


せっかく本を読んだのだから、
そこで得た知識は脳内に定着させたい。
ただそれは簡単なことではない。

私にはいくつか知識を定着させる方法がある。
そのひとつが、
「誰かに話してみる」
という方法だ。

とてもシンプルだ。
シンプルだが、とても難しい。

この方法にはいくつかの段階を設定している。
もっとも簡単なのは、

「会話の相手と共通のテーマから話す」

ことだ。
例えば心理学が好きな相手と、
自分が読んでタメになった心理学の話をする。
これは相手が興味を持っていて、
ときには同じような本を読んでいて、
会話が弾む。

会話が弾めば、相手のワードがヒントになって、
次々と自分の脳内に眠っていた、
本の中の言葉たちが踊りだす。
こうなると脳内に定着する感覚を得られる。

しかし、
これはレベル1だけあって、
その相手がいないところでは、
意外と言葉が出てこなくなる。

次はステップ2だ。

心理学にまったく興味がない人との会話に
織り交ぜてみることだ。

これはそもそも、心理学という会話にならない
そんな相手との会話のなかに”心理学”という
テーマを織り込むことが難しい。

相手の言葉を慎重に探りながら、
自分の脳内に残っている本の言葉と照らし合わせる。

あっ、いけるかも!

と思った瞬間に、
本の言葉たちをその相手にぶつけてみる。

もしふたりの会話に差し込むことができたら、
次に問題になるのが”単語”だ。
心理学に興味がない相手に対して、
理解できる言語に変換できるか。
これはその本を正確に読めたかどうかが試される。

そして本のなかにあった理論を、
まったく知識のない相手に理解させることができるか。
これは相手を試しているのではなく、
自分の理解度を試しているのだ。

恐らく多くの場合、相手の表情からは、
「?????」
というシグナルが発せられるだろう。

再び、精読するしかない。

もっともハードルが高いステップは、その次だ。
本で出会った言葉たちを、
私が正確に相手に伝えることができた、としよう。
すると何が起こるか。

それは恐らく、
「同意・興味喚起・反論」
だ。

「へぇ、面白いね!」
という反応がその初期症状(同意)だ。

身構えた方が良い。

「もっと面白い話はないの?」
という反応(興味喚起)が返ってくるだろう。

この興味喚起に対して、
私は次のネタを披露しないといけない。
ほかにネタはあったか。憶えているか。
脳内に残る本の言葉たちを掘り起こさないといけない。
ほかのネタならまだしも、
深掘りしようとする人もいる。

「それって、こういうこと?」

本のなかのトピックだけを憶えていたのでは、
この深掘り反応には対応できない。
理論のレベルから理解していないと、
この対応には反射できないからだ。

もし対応できなかったとしたら、
そこに生まれるのは落胆だ。
せっかく期待させた会話の相手をがっかりさせてしまう。
そして自分もがっかりしてしまう。

もし、この深掘り反応に対応できたとしよう。
その後、最後に現れるのが反論だ。

「え、でもさ、こういうケースもあるよね」

知識のない相手の反証はとてもやっかいだ。
ベースになる知識が違いすぎるので、
この反応に対応するのはとても高度な知識が求められる。
もしかしたら………、
本のなかの言葉だけでは足りない可能性すらある。

これはまさに最終試験と思ったほうがいい。
もしこの無自覚な反証に対応できたなら、
本を読んだ知識は脳に定着していると言えよう。

私は過去に何度もこの反証に出くわしてきた。
その度に、曖昧な対応をしてきた経験があるので、
不安にかられてしまう。

そこで始めたのが、同系統の本を多読することだった。
最近であれば、
行動経済学や心理学、経営支援関連の本を、
何冊も読むようになった。

同じような内容が続くので、
一見、面白みが無いように感じるが、
同じような単語や内容が出てくると、

「あぁ、はいはい」

と心で思えて、
「なんか俺、知ってるじゃん」
という根拠のない自信に繋がる。
これは少しずつ脳に定着しているサインだと思っている。
こんなことを繰り返しているのだ。


そんなリピートの日々の中で、
せっかくお金を出して得た知識を、
どうにか血に変え、肉に変える作業をしている。

そして今日もまた、人知れず誰かに、話してみる。

ここまで書いておいてなんだが、
こんな面倒な方法は
コミュニケーションに支障をきたすかも。
あまりオススメできないかもしれない………。


なんて。
今日も偉そうに失礼致しました。


株式会社パイプドビッツ
美歴カンパニー
美容師名鑑編集部 BirekiMagazine編集部
兼任編集長 石渡武臣


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