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2015.03.03 Tue
『美容師という職業に知的財産権はあるのかないのか、という話。』




今から10年ほど前、
日本の知財権利の第一人者である、
「日比谷パーク法律事務所」代表の、
久保利英明弁護士にインタビューしたことがあります。

そのときのテーマは、
当時、少しずつ話題になっていた
知財ビジネスに関する著作権法の取り扱い、
及び知的財産権のビジネス化、
だったと思います。

幅広い経験と実績を持つ久保利弁護士の話の中で、
とても興味深かったのは、
アーティスト村上隆氏に関することでした。

その数年前、
2003年に、ニューヨークのオークション会社「サザビーズ」で、
等身大フィギュア『Miss Ko2』が50万ドル(約5,800万円)で
落札され、話題となっていました。
これは当時の日本現代美術作品の最高額だそうです。

久保利弁護士の話の主題は売れたことではなく、
また売れた金額でもなく、その後日談です。

アメリカから帰国したら、
村上隆さんのところに税務署員が来たそうです。
そして………、
「あのフィギュアの制作費は?」
と聞かれたそうです。

村上隆さんは、
「材料費は、、、このくらいですけど」
と言ったところ、
「では利益はいくらいくらですね」
と単純に原価から利益を計算し始めたとか!!!

今ではさすがにそんなことはないでしょうが、
当時の日本の知財ビジネス事情は、
そんなお粗末なものだったそうです。

このとき、久保利弁護士と私の議論は、
「知的財産の価値評価」について。
今では、特許庁や独立行政法人など、
様々な期間がその評価推進をしていて、
評価方法等もあるようです。

ま、正直、それらによって評価されるのは、
大きな企業にとっての知的財産であることが
多いわけですが、
例えば、編集者が持つ知財(ある種の経験値)、
美容師が持つ知財(ある種の技術的財産)、
マッサージ師、エステティシャン、ネイリスト、、
それらが評価対象に置かれないわけです。

そうなると何が評価になるか、というと、
”価格”になるのですが、
お客さんってのは税務署員並みにシビアなので、
その原価を勝手に判断するわけです。

ではそのような技術者が優れていると判断される、
その付加価値はどこにあるか、
それは結果に集約されると思います。

例えば腰痛が治らなくて、診察したら、
背中が曲がっているのが原因だとわかった。
曲がった背中を整体師の先生が施術したら、
曲がっていた線がまっすぐになった………
みたいなテレビ番組とかありますよね。

私はこの仕事をするまで、
美容師さんってのは、
みんな同じカット技術なんだと思っていました。
だから、どこで切っても同じになる、みたいに。
違いは人柄とか、雰囲気とか、値段とか……。

だから簡単に価格で比較をしようと思ってしまう。
でも、知れば知るほど、人によって技術格差がある、
そういう現実を知るわけです。

私は、
美容師さんはスタイルの提案をするだけでなく、
もう少しだけ、
技術の説明をしてもいいのでは、、、

なんて思うのです。
なぜこのカット技術が必要なのか、
この技術があるからどうなるのか、
お医者さんと同じように、とは言いませんが、
軽くでいいので、自分の根拠となるものを、
分かりやすく、嫌みなく、でも納得してもらうために、
知ってもらうことも大事なのではないか、
って思うのです。

もしサロンワーク中に言うのが難しければ、
ブログやホームページにて………、

「今日も練習会でがんばりました!」

みたいに、軽く書いちゃうのではなくて、

”何の練習をして、これによってお客さんはどうなっていく”

っていう、技術の、その理由を書いて欲しい。
整体やマッサージやお医者さんにある、
技術の説明が美容室では行われないですよね。

そういうちょっとしたところから、
知財の価値って伝わるんじゃないかな、
とふと思ったのでした。


今日も偉そうに、失礼致しました。。。。


株式会社パイプドビッツ
美容師名鑑編集部 BirekiMagazine編集部
兼任編集長 石渡武臣
3月5日、福岡にて「美容師さんが2020年までに準備すべきこと」をお話します。
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株式会社パイプドビッツ
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