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美歴マガジン記事一覧 » 『一生懸命に労働時間を短縮しようとすると従業員は辞め、経営は悪化する、という話。』
2015.01.12 Mon
『一生懸命に労働時間を短縮しようとすると従業員は辞め、経営は悪化する、という話。』




美容室経営者のみなさんと話していると、

「いかに労働時間を短縮するか」

に取り組んでいる方が多いことに気づきます。
労働集約型の美容室業であれば、
客単価を高めることで、
労働時間を短くできます。
そのような取組みに努力している、
そんな経営者の方が多いようです。

これは素晴らしいことだと思います。
ただ、
その前に、少し立ち止まって、
この目的は何であり、
実行した結果がどうなるか、
検討すべきだと思うわけです。

各社によって、目的は違ってくるので、
ここでは注意点を喚起したいと思います。

まず、何よりも、
労働時間短縮が目的になってはいけないわけです。
労働時間を短くするために、
生産性を高める努力をするのは本末転倒です。
この場合、
生産性を高めることが手段になっています。
生産性が高まるのは、
施策を実行した結果でないといけないのです。


いやいや、結果的に同じことじゃん!


と思う人があるかもしれませんが、
大きく違うと思うわけです。

生産性を高めることが手段になると、
方法論は限られてきます。
それは客単価の向上です。
客単価を高めるためにできることは、
さらに限られてきます。

<技術単価の向上>
<プラスアルファサービス提案>
<店販提案>
<トータルビューティへの誘導>


労働時間短縮は手段なのです。
この手段をさらに分解したとき、
まず、すべきは、

●既存労働時間配分の見直し
●作業内容の見直し
●顧客への提案内容の見直し
●顧客自体の見直し•分析
●予約受注時間の見直し
●練習時間の見直し

など、まずは現状改善です。

その結果、
■作業効率アップ
■顧客ジャンルの絞り込み
■予約(曜日•時間)配分の集中化
■顧客提案内容の先鋭化
■練習時間の効率化

が図られるわけです。
こうなると、

★時間単位の技術単価が向上
★プラスアルファサービスが提案しやすくなる
★店販を提案する時間が増える
★トータルビューティへ興味喚起しやすくなる

こういう結果に結びつくと思います。

なぜか、こうなるのか。

それは美容師さんの時間が増えるということは、
また個別の労働時間が短縮されるということは、
お客さんの時間を増やすことができるからです。

これらのこと(だけではないですが)を実行することで、
労働生産性は、徐々に向上していくと思うのです。

方法と目的、そして結果をごちゃまぜにしては、
取れる選択肢が少なくなるわけです。


では次に、労働時間が短縮された結果、
何が起こるか、ということです。

「プライベートな時間を充実させて欲しい」
「もっとインプットの時間に費やして欲しい」

と、
とても優しい想いの経営者がいらっしゃいます。
それは想いだけでいいと思うわけです。

もっと言えば、
時間短縮によって得られたほかの時間は、
労働者が選択するべきであって、
経営者が指示することではないからです。
(指示した瞬間に、それは労働です)


技術練習に充てる人がいるでしょう
違う収益を考える人がいるでしょう
遊びの時間に充てる人がいるでしょう
飲みに行く人がいるでしょう
美術館に行く人がいるでしょう
寝る人がいるでしょう

それはその人、その人の選択なのです。

空いて、得られた時間をどう使うかは、
労働時間を短縮するための努力に紐づきます。

すべての人が高い給料をもらいたいわけではなく、
労働時間に見合った収益が欲しいわけです。

最近、一般企業でもこの概念が一般化しています。
この価値観を、

「時間価値」

と言います。
給料の額面を上げることではなくて、
自分の時間の価値を高めることが
今後の人生環境において重要になると思うわけです。

ですから、一般企業のビジネスマンは、
ある人は、
いわゆる労働時間以外の時間にとても勉強しています。
ある人は、
いわゆる労働時間以外の時間にとても遊んでいます。
ただ、
いずれの場合も、惰性ではなく、
自分が持っている時間の価値を高めることが、
目的になっているわけです。

今後、労働生産性を高めるということは、
「時間価値」を高めることになると思います。
そしてそれは、人それぞれに付随するわけで、
会社が指示することではないわけです。

では、会社はどうするべきなのか。

その目的と結果と方法を支援することです。

特に美容室の場合は、
それぞれの美容師さん、
アシスタントさんにとっての、
時間価値がどこにあるのかを考えさせて
そのためにはどんな目的地があって、
そのためには何をするべきか方法を考えさせて
そして、その実行を支援してあげることが大事です。
すると結果は自然とついてくると思うわけです。

目的が論理的に設定されて初めて、
日々の努力ができるのだと思います。
そして結果が出るまで支援すること。
そしてそれらはひとつではないこと。
ただ単に、労働時間の短縮を目指すと、
きっと従業員に何かしらの負担やゆがみが生まれ、
狙いとは逆の結果になってしまう、と思います。

労働時間短縮を目指す経営者さんは、
ぜひ、気をつけて頂きたいと思うわけです。

と、
今日はいつもより偉そうに、すいません。。。


株式会社パイプドビッツ
美歴カンパニー
美容師名鑑編集部 BirekiMagazine編集部
兼任編集長 石渡武臣