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2014.06.09 Mon
これから美容室業界で働くみなさんへのラブレター
みなさん、こんにちは。
いつもBireki Magazineを読んで頂きまして、ありがとうございます。
私もここでコラムを書かせて頂くことにします。
今日は、第1回なので、私の思い出話を。
(あれ?いらない??)
ま、そういわずに、読んでみてください。




19歳のとき、
私は出版業界に足を踏み入れました。
最初はライターのアシスタントです。

私がつかせて頂いたライターの師匠は女性でした。
経験を積んだ今思っても、とても優れたライターでした。
○○画報など、とても”重め”のコラムを、一晩で40ページ以上も書きあげていました。
(しかも文章が素晴らしい! とても面白い!)

私は彼女のもとで、
女性ファッション誌、情報誌、週刊誌、男性ファッション誌、FMの放送作家……。
多岐にわたる仕事を担当させて頂きました。

午前中にマリーナでファッションの撮影をしてから、午後はラーメンの撮影。
暴走族に取材をしてから、女優さんにインタビュー……。
そんな毎日。
(今思えば、そんなライターはイマドキいないよなぁ)

それはとても刺激的で、
幅広い知識と人脈を作ることができました。

ただ……、その2年間は相当に大変な時期だったのを憶えています。

朝日が上る前からロケの準備、買い出し、モデルケア、ロケ地誘導、ロケ撮影、撤収・片付け、撮影内容の確認、次の取材、また撮影、他誌のインタビュー、アポ入れ、企画書作り、レイアウト入れ、小物の借り出し、ロケバス手配、ロケ地確認、写真のチェック、打合せ、翌日の撮影準備、コーディネートチェック……、
深夜になれば原稿作成、入稿準備、デザイン確認……。
朝方に終わり、早朝からロケ……

思い出しても、熱が出てきそうなスケジュール(笑)。

さらにうちの師匠がすごかったのは………、

初めて師匠についた日に言われました。

「イシワタリクン、毎日、日記を200文字で書きない」

と。


私は毎日200文字で日記を書きました。
200文字をオーバーしてはダメ、190文字以下でもダメ。
できるだけ200文字ぴったりで書くのが条件でした。

(マジメクンだった)私は毎日、毎日、日記を書きました。
パソコンなんてなかった時代(ワープロが主力で)。
手書きで200文字の日記を書いて、毎晩、師匠の自宅にFAXしました。


そして約2時間後、
ツツツツツ……

と、赤字(修正指示のこと)が入った日記が戻ってくるのです。

他人の日記に赤字を入れるなんて、アンネ・フランクもびっくりです。

事実かどうかは別として、いかに読者(師匠)にとって面白いか、興味をそそるか、情報が入っているか……
お客様にとって価値のある文章であるか、を求められました。

余談ですが、200文字というのは雑誌の記事でとても多く用いられる文字量。
その後、私は数えなくても、50文字、100文字、150文字、200文字など、ぴったりの文字量で文章が書けるようになっていました。


19歳から20歳くらいまでのおおよその2年間、私はそんな生活を繰り返していました。
睡眠時間なんて、なかった(笑)。

2年ほど経ったある日、師匠からこう言われました。

「今日からイシワタリクンは独りで仕事をしていきなさい」

と。

その日から私は独りで仕事をさせてもらうようになりました。
日記の提出は終わりましたが(笑)、師匠のアシスタント業務と、自分で受けた仕事の”二足のわらじ生活”は、さらに過酷な環境を私にもたらしました。

そして、そんな生活が変わることなく10年たったある日。
ふと、30歳くらいになって過去を思い返したのです。

フリーライター、フリー編集者、そして編集会社の社長をやって、バリバリと雑誌やコンテンツを作っていた頃です。

「20代の、あの辛い過酷な経験があって、本当に良かった」
って。

その当時は、まったく気付いてなかったのですが、思い返せば、あれって……


ある種の筋トレだったのでは?って。

部活に入っても、最初は筋トレの毎日が続くのと同じように、社会人として仕事を成就させるための筋トレも必要だって。

先輩(師匠)から言いつけられたトレーニングをクリアすること。
徹底的に自分を鍛え上げることで、選手(仕事人)として一人前になれる、のだと。

筋トレをしている時期にはなかなか気付かないものだけど、時間がたってみると、肌で感じることがあるのです。
身体が憶えている、なんて言ったら大げさかもしれないけど。

今、美容師としてキャリアを始めた若い人たちに、ぜひお伝えしたいのです。

もし辛いのであれば、それは筋肉をつけているところ。
大人になったとき、その筋肉はあなたを助けてくれる。
もし過酷な環境にいるのであれば、それはあなたの精神が磨かれているところ。
近い将来、きっとあなたから迷いが消えて、(たとえ美容師じゃなくても)素晴らしい仕事人になる。

だから簡単に諦めないで欲しい。
どんな仕事でも筋トレは必要なのです。



(あぁ、、でも理不尽なこともあるので、すべてが正しいとは言えないけど……)

素晴らしい美容師人生が送られますように、祈っています。



株式会社パイプドビッツ
美容師名鑑編集部/Bireki Magazine兼任編集長
石渡武臣